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中島 健次; 河村 聖子; 中村 充孝; 梶本 亮一; 稲村 泰弘; 高橋 伸明; 長壁 豊隆; 脇本 秀一; 相澤 一也; 鈴谷 賢太郎; et al.
no journal, ,
アマテラスは、J-PARC、物質・生命科学実験施設に設置された冷中性子ディスクチョッパー型分光器である。線源のパルス幅を任意に整形するパルス整形チョッパーを持つ新しいタイプの分光器であり、新開発の高速チョッパーと合わせて、高い分解能(),高い強度、また実験目的に合わせてそれらを最適化できる高い自由度で冷中性子熱中性子領域の非弾性散乱,準弾性散乱実験を行う中性子散乱実験装置である。アマテラスは、2009年春の完成以来順調に装置整備も進み、まだ不足の機器,未調整の部分等も残るものの、基本的な測定はある程度実施可能な状態となった。これを受けて、一般の利用者への供用もこの12月から開始されている。今回の報告では、機器調整中の試験測定によって得られたアマテラスの現状の性能について報告する。特に、パルス整形チョッパーを機能させた場合のアマテラスの分解能関数等の性能が当初の設計通りに実現されているかについて議論する。
小瀧 秀行; 林 由紀雄; 川瀬 啓悟; 森 道昭; 神門 正城; 本間 隆之; Koga, J. K.; 大道 博行; Bulanov, S. V.
no journal, ,
レーザー加速にて生成した電子ビームを応用に利用するためには、安定でコントロール可能である必要がある。すでに、安定電子ビーム生成に成功している。安定な準単色エネルギー電子ビームが生成できるパラメーターにて、電子ビームコントロールを行った。まず、電子ビームのプロファイルコントロールを行った。レーザーの偏光のコントロールにより、電子ビームプロファイルの制御に成功した。電子ビームがレーザー中にいる場合、レーザー電場の力を受けているため、レーザー電場と垂直方向にエネルギー分解すれば、この電子のシフトが見える。レーザー電場による電子振動のデーターの半値全幅は1.5周期であり、この電子振動がレーザー電場によるものとすれば、4fsのパルス幅であると見積もられる。次に、ガスジェットの位置のコントロールにより、電子ビームの方向のコントロールを行った。ガスジェット位置のコントロールにより、電子発生方向の制御に成功した。
森林 健悟
no journal, ,
X線自由電子レーザーなど最近、短パルス短波長高輝度X線源の開発が盛んに行われており、このX線源を用いた生体分子観測等の応用研究が検討されている。この開発や応用には、パルス幅やX線フラックスなどX線源の装置パラメータを知ることが不可欠である。ここでは中空原子(内殻電子が全くない状態)の発生及び光電子スペクトルを用いた観測手法の提案を行う。高輝度X線照射で生成された中空原子からの蛍光X線発生量と内殻励起状態(内殻電子が1つだけ電離した状態)からの蛍光X線の発生量の比は生体分子に照射されるX線フラックスに比例することがわかった。この比の観測が標的に照射されたX線フラックスの見積りになる可能性があることを明らかにした。高輝度X線照射で発生する光電子は、標的内に生じる電荷によってエネルギーを損失する。このエネルギーの損失によりX線フラックスを見積もれることを提案し、さらに、簡単な近似式を導きだし、それが、この観測に有効であることを示した。
川瀬 啓悟; 神門 正城; Pirozhkov, A. S.; 本間 隆之; 亀島 敬*; 大東 出; 林 由紀雄; 小瀧 秀行; 福田 祐仁; Esirkepov, T. Z.; et al.
no journal, ,
原子力機構関西光科学研究所において高強度チタンサファイアレーザー(エネルギー520mJ,パルス幅30fs)を用いて、レーザー対向入射型相対論的飛翔鏡の実験を実施した。本研究では、XUV光発生を確認し、その強度は理論的な評価とよく一致するものである。本発表では、本研究の概要と実験手法の詳細について報告する。
仁木 和昭*; 新井 重昭*; 石山 博恒*; 岡田 雅之*; 牧井 宏之; 宮武 宇也; 渡辺 裕*
no journal, ,
TRIACではC()実験が計画され、250ns以上の間隔でパルス化したビームが要求されている。TRIACは26MHzのRFQで加速するため約38ns間隔のビームとなる。これを250ns以上にするためRFQの前に周波数可変で鋸歯状波のバンチングが得られるプリバンチャーとS/Nを向上させるためのチョッパーを設置した。本報告ではその設計制作,ビーム試験の結果等を述べる。
湊 太志
no journal, ,
原子核のエネルギー準位密度は核反応をシミュレーションするうえで重要なデータである。しかしエネルギーが高くなるにつれ、準位密度は指数関数的に増え、また重い原子核ほどその密度は高くなり、現在のところ実験的に解析するには限界がある。このような背景から、まだ解析されていない原子核やエネルギー領域の準位密度は理論的な手法で求める必要がある。その方法の一つとして、統計力学の観点に基づいて導く方法がある。この方法は平均場理論と組合せて発展させられてきたが、これまでの研究では残留相互作用は簡単な形で近似されてきた。今回、Skyrme力を用いたより現実的な相互作用で導かれるエネルギー準位密度の計算を行った結果、従来の計算方法に比べて高い準位密度が得られることがわかり、一部の実験データをより精確に再現できることがわかった。
神戸 振作; 徳永 陽; 酒井 宏典; 中堂 博之; 松田 達磨; 芳賀 芳範; 大貫 惇睦
no journal, ,
URuSiは、低温の電子物性の試料品質依存性が大きく、その本来の物性を解明するためには、非常に良い試料で物性測定する必要がある。本研究グループは、残留抵抗の非常に小さい超純良単結晶の合成に成功した。ここでは、そのNMRによる試料評価について議論する。
乙部 智仁
no journal, ,
超短パルスレーザーによるダイアモンドの電子励起過程を時間依存Khon-Sham方程式を実時間実空間法でシミュレートした。その結果レーザーの偏光方向を結晶方向に対して回転していくと、電子励起の確率が最大で2割程度変化し、その原因がブロッホ位相空間におけるバンド間遷移の起こる領域が偏光方向により変化することであることが明らかになった。またこれはレーザーによる結晶構造の局所的プローブや固体内電子の励起プロセスのコントロールの可能性を示唆する結果である。
中村 龍史; Esirkepov, T. Z.; Koga, J. K.; Bulanov, S. V.
no journal, ,
医療応用を目的とした高強度レーザーによる高エネルギーイオン発生の研究は多くの研究機関において積極的に進められている。解決すべき課題の一つが、イオンエネルギーの増大である。このために、臨界密度近傍のプラズマを利用することが効果的と考えられる。そこで超高強度レーザーの照射により形成される磁気双極子渦を利用したイオン加速について考察する。この磁気渦は複雑な振る舞いを示し、ある条件下では強い電界を誘起しイオンを高エネルギーまで加速することができる。本研究では、磁気渦加速のメカニズムとエネルギースケーリングについて講演する。
橋本 慎太郎; 緒方 一介*; 千葉 敏; 八尋 正信*
no journal, ,
重陽子入射反応において、その一部である陽子、あるいは中性子のみが標的核に吸収される不完全融合過程と、重陽子全体が吸収される完全融合過程を取り扱う。弱束縛系の原子核である重陽子は反応の途中で分解と再結合を繰り返すため、その効果を考慮した離散化チャネル結合法(CDCC)を用いて反応全体を記述する。今回は、クーロン分解が重要な役割を果たす重イオン標的の重陽子入射反応を解析し、不完全融合過程の重要性を議論する。
越智 義浩; 寺川 康太*; 末元 徹*; 河内 哲哉; 富田 卓朗*; 山本 稔*; 出来 真斗*; 長谷川 登; 大場 俊幸; 海堀 岳史
no journal, ,
日本原子力研究開発機構・関西光科学研究所にて開発した高繰り返し軟X線レーザー(波長13.9nm,パルス幅7ps,繰り返し頻度(最大)0.1Hz)をプローブ源とした固体表面観測用の干渉計を開発した。FIBで加工したナノメートル深さ,ミクロン幅の構造体による分解能評価の結果、平面内分解能m,凸凹方向分解能nm,時間分解能psであった。講演では、装置の詳細、及びプラチナ表面でのアブレーションダイナミクスの観測結果について報告する。
二宮 和彦; 長友 傑*; 久保 謙哉*; 喜多 真琴*; 篠原 厚*; 伊藤 孝; Strasser, P.*; 河村 成肇*; 下村 浩一郎*; 三宅 康博*; et al.
no journal, ,
ミュオン原子から放出されるミュオン特性エックス線のエネルギーは非常に高く、大きな物質の内部からも吸収されずに放出されるために、ミュオン原子を元素分析のプローブとして用いることが期待される。本研究では、J-PARCミュオン施設において組成の異なる青銅板へのミュオンの照射を行い、元素あたりのミュオンの捕獲率から青銅におけるミュオン捕獲比を決定した。また青銅貨幣(中国秦代)にミュオンの照射を行い、エックス線の強度から元素分析を行ったので報告する。
坂井 徹; 佐藤 正寛*; 奥西 巧一*; 岡本 清美*; 糸井 千岳*
no journal, ,
S=1/2三本鎖スピンチューブの三本の桁方向の交換相互作用を、正三角形から二等辺三角形に変形する模型において、3分の1磁化プラトー状態を密度行列繰りこみ群と数値対角化で解析した結果、正三角形に近い領域で、スタガード磁化,カイラル秩序などの共存相が現れることがわった。
柴田 猛順; 小倉 浩一; 小池 文博*
no journal, ,
ジスプロシウムの対称電荷移行は移行する6s電子の内側にf電子の開殻があり共鳴,非共鳴の反応経路がある。これまで共鳴,非共鳴の反応が独立に進み、それぞれが統計重率に比例するとして断面積を計算してきたが、共鳴,非共鳴の状態間にも移行がある。ここでは、ジスプロシウムの電荷移行断面積をすべての状態間の移行を考慮した計算を行った。その結果、断面積は6s電子の内側の閉殻で共鳴電荷移行の反応経路のみを持つ場合より少し小さいだけで、共鳴,非共鳴が独立に進むとしたこれまでの計算値よりずっと大きいことを示した。また、この値は測定値にかなり近い値になった。
稲見 俊哉; 道村 真司; 光田 暁弘*; 和田 裕文*
no journal, ,
EuPtPはEuとPtPの面が交互積層した結晶構造を持ち、X線吸収分光実験とMssbauer分光実験からEuの平均価数は2価と3価の間の中間価数で、大きく温度変化することがわかっている。また、=235Kと=190Kで軸長の大きな変化を伴う1次相転移があり、これが価数転移や価数(電荷)秩序を伴うものと提案されている。われわれはこの電荷秩序の証拠を得るためにEuの吸収端で共鳴X線回折実験を行った。実験はSPring-8の原子力機構専用ビームラインBL22XUで行った。まず、蛍光スペクトル測定を行い、そこから明瞭な階段状の平均価数の温度変化を得た。続いて禁制反射,超格子反射の探索を行い、中間相でに、低温相でに、特徴的なエネルギー依存性を持つ反射を確認した。このエネルギー依存性は、蛍光スペクトルから得られた異常散乱項の虚数成分と、それをKK変換して得られた実数成分に、構造変調に伴う部分をパラメータとして加えると、2価と3価の差スペクトルとして主要な構造を再現することができる。これらの結果から、大まかには、軸方向へ、低温相では2価3価,中間相では2価2価3価という積層電荷秩序構造をとると考えられる。
安居院 あかね; 魚住 孝幸*; 水牧 仁一朗*; 河村 直己*
no journal, ,
化合物中で3価をとるEuイオンの全角運動量は、基底状態J=0と第一励起状態J=1のエネルギー差が室温程度と他の希土類元素に比べて小さい。EuFeOのEu4fの電子状態をより詳細に調べるため軟X線共鳴励起発光分光スペクトルを測定した。XESの1150eV付近観測された構造は熱励起されたJ=1,2励起状態の存在に由来するものであると考えられる。
千葉 敏
no journal, ,
原子力利用の高度化に伴い、使用済み燃料に含まれる放射性核種の処理が主要な問題の一つとなっている。特にその中に含まれるマイナーアクチノイド(MA)や長寿命核分裂生成物(LLFP)の処理をどうするかは、原子力システム全体のあり方に影響を及ぼす重要課題である。これらの核種は天然に存在せず、中性子を用いて断面積を測定するほどの試料を用意するのが困難なため、一部の核種,一部の反応を除いて核データ(中性子反応断面積)の測定は行われていない。そのため革新的高速炉や加速器駆動炉など、MAを含む核変換システムの設計に大きな不確定性が存在する。われわれは、代理反応と呼ばれる多核子移行反応を用いてこれらの核種が中性子を吸収した場合と同じ複合核を合成し、その崩壊比の測定から中性子断面積を間接的に決定する測定を計画している。この方法で半減期が数秒以下の核種の断面積でも決定可能である一方、原理的な諸問題も存在する。ここでは計画概要,手法,メリット,問題点,その解決方法などについて説明する。
宇都野 穣; 千葉 敏
no journal, ,
酸素同位体の核構造は、殻ギャップやクラスター状態という核構造論的観点のほかに、代理反応の入射粒子の構造といった応用的な側面からも重要である。この領域には、励起状態に、単純な独立粒子模型では説明のつかない状態が系統的に存在することが知られている。こうした状態は、殻構造的な観点からは魔法数8の殻ギャップを超えて核子が励起した多粒子多空孔状態と考えられてきているが、殻模型ではこれまであまり多くの研究がなされていなかった。この研究では、魔法数8の上下の軌道をバレンス殻とした殻模型計算により、多粒子多空孔状態を系統的に研究した。これまでの研究では、一粒子エネルギーをハートリーフォック状態により計算して実験値と合わせたものを用いていたが、相関エネルギーを取り入れて計算すると、一粒子エネルギーを従来とは異なるものを用いる必要があることがわかった。そのようにして修正された一粒子エネルギーを用いた殻模型計算を行った結果、実験値に近い多粒子多空孔状態の励起エネルギーを得ることができた。
岩田 圭弘; 伊藤 主税; 青山 卓史
no journal, ,
高速炉の破損燃料位置検出(FFDL)システムへの適用に向けて、レーザー共鳴イオン化質量分析法(RIMS)を用いたAr中の極微量Kr, Xe同位体分析の研究を行っている。Kr, Xeの正確な分析には光電子により生成する, を抑制することが必要不可欠であり、Kr, Xeの損失なく, 引き出し量を低減する目的で、飛行時間型質量分析計(TOF-MS)のイオン引き出し孔をレーザー光路に合わせてスリット型に改良した。スリット形状を変えてAr, Krの信号量を測定したところ、1mm10mmがほぼ最適であり、, の影響を大きく低減させることができた。また、レーザー照射時間1024秒に対するKr, Xe同位体比の分析誤差を評価した。pptレベルの核種濃度ではKr, Xeともに10%程度と得られ、統計誤差が主要因である。装置の検出効率改善を目的としてTOF-MSを線形型に変更することを検討しており、線形型でKr, Xeの同位体分析に十分な分解能を有することを確認した。今後は、イオン加速電圧の増加と合わせて検出効率を2桁程度改善し、分析誤差を1桁低下させることを目標とする。
有友 嘉浩; 千葉 敏; 橋本 慎太郎
no journal, ,
原子力の高度化、すなわち核燃料の高燃焼度化,高速炉,廃棄物の最小化は原子力エネルギー利用において非常に重要な課題である。その中でも短寿命のマイナーアクチノイドの核データは、高速炉における臨界性に関連して不可欠であるが、これらのデータを直接実験で得ることはできない。そこで、核子移行反応を用いた「代理反応」によってこのようなデータを得ようという試みが注目度を増している。現在、代理反応によって生成される複合核と、中性子反応によって生成される複合核の状態の相違についてどのように取り扱うかが課題となっている。このような問題に対し、これまで超重核領域の反応を扱うために開発されてきた統一模型を代理反応に適応し解析を行う。今回は、代理反応を統一模型によって記述するための理論の枠組みや改良点について議論し、この模型で計算した核子移行過程や生成核の崩壊過程における計算結果を報告する。衝突係数と移行核子数の相関関係,生成核からの分裂片の質量分布,角度分布を議論する。さらに代理反応による生成核の角運動量分布についての考察も行う。